【ライブレポート】MY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL さいたまスーパーアリーナ
2019年11月30日(土)、MY FIRST STORYのバンド史上初となるさいたまスーパーアリーナでのワンマンツアーが行われた。スタンディングとスタンド指定含めて約2万人規模のチケットをソールドアウト。カバー曲やアコースティックVer.なども織り交ぜ、全23曲(インストゥルメンタルを除くと22曲)をバンド史上最高レベルのパフォーマンスで歌い切った。
この記事では、MY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL (さいたまスーパーアリーナ)のセットリストから、ライブの流れ、ライブ途中に巻き起こったハプニングなど、ライブの詳細をリアルにお伝えする。
圧巻のセットリスト
まずは、今回のツアーファイナル(MY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL at さいたまスーパーアリーナ)のセットリストを振り返る。
-Inst-
1.不可逆リプレイス
2.Black Rail
3.ブラック・スワン
4.Monolougue(インスト)
5.虚言NEUROSE
6.KING &ASHLEY
7.mine
8.君のいない夜を超えて
-MC-
(アコースティック)
9.失踪FLAME
10.終焉レクイエム
11.Love Letter
-Band session-
12.無告
13.Missing You
14.Weight of my pride(PTPカバー)
15.MONSTER
16.絶対絶命
17.ACCIDENT
18.モノクロエフェクター
19.REVIVER
20.With you
En.
21.かくれんぼwithマイファス
22.「花」-0714-with 優里 (Re:arrange)
23.不可逆リプレイス
以上が、MY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL at さいたまスーパーアリーナのセットリスト。キラーチューン「不可逆リプレイス」から始まる、乗っけからエンジン全開のセットリストだ。「ALONE」が歌われなかったのが意外かもしれない。
また、中盤では日本のラウドロック黎明期を支えたロックバンド、Pay money To my Pain(通称PTP)の代表曲「Weight of my pride」をカバー。アンコールではマイファス恒例となったドキュメント映像、夢を追いかける人を応援するプロジェクトなど、最後まで見どころづくしだ。
OPからアンコールまで流れをイッキ見!
ここからは、オープニングからアンコールまで、ライブを通しての流れを一気に振り返る。
マイファスらしい神秘的なオープニング
ステージ前に降ろされた白い膜と、ステージ左右の大きなディスプレイに写されたオープニングムービーからライブは始まった。
MY FIRST STORYらしい独特な映像と音楽で会場のボルテージが上がる。
一曲目からぶち込み。不可逆リプレイス
一曲目は何なんだ...会場の誰もがステージに注目して見つめるなか聞き慣れたイントロが。一曲目はマイファスを有名にするきっかけとなった代表曲「不可逆リプレイス」だ。アニメ「信長協奏曲(のぶながコンツェルト)」のオープニングに起用され、YOUTUBEでのMV再生回数は現段階で2,100万回を超えている。
無論、会場は一気に湧き上がる!
前半から怒涛のキラーチューン
「不可逆リプレイス」、「Black Rail」、「ブラック・スワン」、そして「虚言NEUROSE」と、前半から飛ばし気味のキラーチューンが続く。ヴォーカル Hiro はこれらの曲を全力で歌い上げ、その声に全く不安は無かった。ライブ経験を重ね、着実に声のフィジカル・表現力共にレベルアップしていることがわかるパフォーマンスだ。
「ブラック・スワン」は、2018年発売のシングル「ACCIDENT」収録のカップリング曲だが、ライブでの採用も多い人気曲の1つとなっている。
バラードの完璧な歌声に会場は聞き入る
今年7月にリリースされた配信シングル「KING &ASHLEY」と、同じく7月にリリースされたシングル「無告」のカップリングである「mine」をHiro独特のハスキーボイスで歌い上げる。
「KING &ASHLEY」は、Netflixで配信されているアニメ「ケンガンアシュラ」のオープニングとして起用されている。このアニメは2020年よりTV放送もスタートするので、そのタイミングでこの曲が再びブレイクする可能性も大きい!
mineを歌いきり「愛してる」とHiroがつぶやくと、会場からは黄色い歓声が上がり、すぐさま人気バラード「君のいない夜を超えて」を熱く熱唱。会場は熱いボルテージを保ったまま、歌声にしばし聞き入ってしまった。楽器隊:ベースのNob、ギターのTeru、ドラムのKid'zそれぞれの演奏も非常に走っている。
MC-改めましてMY FIRST STORYです
ここで初めてMCが入る。「改めましてMY FIRST STORYです」ここまでのパフォーマンスで会場の熱はすでに最高潮。Hiroの言葉に会場は湧き上がる。そして、メンバー達は通常のステージから飛び出したステージに移動し、アコースティックの演奏へ。
途中メンバーのMCが入るが、話の内容や雰囲気は完全に楽屋モードに。Teruが演出用に用意されたりんごをかじるなど、天然さを覗かせた。ほんわかした雰囲気のトークはMY FIRST STORYならではだ。
アコースティックコーナー
アコースティックコーナーでは、「失踪FLAME」、「終焉レクイエム」、「Love Letter」を披露。ヴォーカルの歌唱力が如実に影響するアコースティックバージョンだが、ハスキーで悲しげながらも時に力強い声で3曲を丁寧に歌い上げた。
「完全に聴かせにきてるな」と感じるパフォーマンスの高さと、途中に挟まれるのんびりとしたMCとのギャップが面白い。Hiroは観客の掛け声にも応じ、独特のキャラで時に笑いを誘った。
3曲という曲数もバランス良く、観客を飽きさせないテンポの良さを感じるアコースティックコーナーとなった。
セッション
アコースティックコーナーからメインステージに戻ると、楽器隊3人によるセッションが行われた。ハイテンポのドラムパフォーマンスと卓越したリズミカルなベース、歪んだ音が空間を歪ませながらも聞いていて不快感のないギター音と、楽器隊の存在感が大きくなっていることを感じさせた。
ファン待望の『無告』が映像と共に
2019年7月31日にリリースされたシングル、「無告(むこく)」。YOUTUBEで公開されているMVは、公開から僅か3ヶ月で260万回の再生数を突破し、ファンの間でもライブでの演奏を心待ちにしていたこの曲がついに解禁!
ステージの前には白い垂れ幕が降ろされ、そこに投影された映像と、後ろから照らされるメンバーの影が融合した演出は非常に独特で格好いい。ライブのパフォーマンスと同時に見せ方にも注力するマイファスらしい演出だ。
音圧のある演奏とCD音源さながらの歌唱力で、アコースティック・セッションコーナーで落ち着いていた観客の熱は一気に最高まで押し上がった。
「無告」のボルテージを引き継ぐように次の曲へ。次の曲はライブでの定番曲「Missing You」だ。会場のファン達は、高いキーに喉を震わせながらシンガロング。会場の一体感は最高。マイファスのメンバー達も、さぞ楽しく演奏していたことだろう。
マイファスの名付け親PTPの曲をカバー
ライブは早くも終盤に差し掛かる。ここで、Hiroはバンド:MY FIRST STORYの結成当初のことに触れ、伝説のロックバンド、Pay money To my Pain(通称PTP)のボーカル、Kによってバンド名が名付けられたことを明かす。
マイファス結成前、PTPのライブに来ていたHiroは、当時いきなりライブの打ち上げに呼ばれ参加 。そこで新たなバンドの結成を決意したのだとか。
当時、軽音サークルの延長のようなバンドをしていたHiroだったが、東日本大震災などの影響もありメンバーは継続が困難に。このまま解散か...と思っていた際に飛び込んだ、思いがけないきっかけにより誕生したのが「MY FIRST STORY」だった。
このような経験から、Hiroは現在も「頑張っているのに成功のチャンスが掴めない人たちにきっかけを与えたい」と活動している。この理念はマイファスの成り立ちから生まれたものなのだろう。
そんな、バンドの生みの親であるPTPのKは、2012年12月30日に急性心不全によりわずか享年31の若さで逝去している。今回のライブでHiroは、Kへのリスペクトを込め、PTPの代表曲である「Weight of my pride」をカバー。観客の中にもこの曲を知っている人は多く、感情の込められた歌声に感化され、会場も大きな盛り上がりを見せた。
最高の流れのままクライマックスのエンディング
PTPのカバー「Weight of my pride」の後は、まさにクライマックス。「MONSTER」、「絶対絶命」、「ACCIDENT」、「モノクロエフェクター」「REVIVER」という、マイファスらしい激しいナンバーを連続で繰り出し、会場は落ち着くことを知らない。スタンディングエリア前方では、ここぞとばかりにダイバーが押し寄せる。
そして最後の曲は、最近ではライブの定番曲として定着し、非常に高い人気を誇る楽曲「With you」。感情の込もったエモーショナルなパフォーマンスによって、まさしく最高のフィナーレとなった。
ラストの曲が終わると、軽く挨拶してステージから去るメンバー達。程なくして、会場ではアンコールを求める手拍子が起こった。
ストリートミュージシャン『優里』さんとの出会い
しばらくして、アンコールの手拍子に応えるように、ステージ左右の巨大なスクリーンに映像が灯る。大きな歓声が沸く中、メインステージ前方にもスクリーンが降り、映像が映し出された。
MY FIRST STORYのライブでは恒例となったドキュメンタリー映像だ。プロデューサーやマネージャー、そしてHiroがテーブルを囲み、会議を行っているシーンが映し出される。
話の内容は、以前インスタグラムなどで話題になった「MY FIRST STORYのカバーをしているストリートミュージシャン」の話へ。
ストリートミュージシャンの「優里(ゆうり)」さんが路上で「花」-0714-をカバーしている際に、そこに通りかかったHiroご本人がまさかの乱入。マイクを奪って熱唱するというハプニングが発生し、その動画はインスタグラム、Youtubeなどで大きな話題になった。
「頑張っているのに成功のチャンスが掴めない人たちにきっかけを与えたい」という思いをかねてより発言しているHiroは、このストリートミュージシャン「優里」さんを応援することに。
自身が乱入した時は連絡先を聞くのを忘れていたHiroだったが、インスタグラムで優里さんのアカウントを見つけ、すぐさまダイレクトメッセージで一言だけ、「来いよ」とメッセージ。
するとすぐに「既読」になり、そこから何度かやり取りをした後、Hiroが優里さんの元を訪れることに。さらに、オリジナルソングを作っているという話を聞いたHiroは、「1日使ってレコーディングしてみる?」と提案。
まさかの急展開に驚く優里さんだったが、何ががなんだか分からないままマイファスが貸し切っていた機材を借りてレコーディングをすることに!
会場でオリジナルソング『かくれんぼ』を披露
優里さんのオリジナル曲『かくれんぼ』を聞き、「俺らにこんな曲無かったな」「こういう曲も欲しいね」と絶賛するHiro。
そして、会場のスクリーンに映し出された映像は暗転し、MY FIRST STORYのメンバーが裏方からステージに登場。
「今日、優里が来てくれてます」「どこだ、優里!」とHiroがマイクを通して呼ぶと、スポットライトがステージ右側の客席を明るく照らし、そこに座っていた優里さんが恐る恐るステージ上へ。
まさか会場でオリジナルソングを披露することになるとは予想していなかった様子で、ガチガチに緊張している様子の優里さん。しかし、演奏が始まると、その魅力的な声でHiroと二人で『かくれんぼ』を歌いきった。
その後、Hiroは「俺らが出会ったきっかけになった曲をやっていいですか」と提案し、二人で『花』-0714-を熱唱。会場は静かながらに熱い視線で2人を見守り、最後には盛大な拍手がマイファス、そして優里さんに送られた。
Hiro「もう一回初めからやって良いですか!」
ここではじめてアンコールしてくれた観客に感謝を示したHiroは、「もう一回始めからやっていいですか!」と叫び、本日一曲目にやった曲をもう一度披露。そう、「不可逆リプレイス」だ。
ここまで20曲以上を全力で歌い上げているにも関わらず、それを感じさせない圧巻のパフォーマンス。途中「パーン!!」という音と共に金・銀のテープが噴出され、会場全体が湧き上がる。
「不可逆リプレイス」を歌い切る様子には余裕すらも感じられ、以前からのライブパフォーマンスと比較して、このバンドがどれだけの進化を遂げているかを明らかに見せつけられた。これは、会場に訪れた多くのファンが感じたことだろう。
祝!2020年2月、WOWOWにて放送決定!
今回の「MY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL at SAITAMA SUPER ARENA」はカメラ撮影が行われており、会場では、来年2020年2月にWOWOWで放送予定との旨が発表された。
また、関連番組として、「MY FIRST STORY S・S・S TOUR FINAL at Yokohama Arena DAY-1/DAY-2」の様子が 12月4日(水)午後2:00から WOWOWライブにて放送される。
現在、スカパー!経由でWOWOWに申し込むと視聴料金が初月無料+2ヶ月間1,265円になるキャンペーンが行われているので、WOWOWへ加入予定の方はチェックしてみるといいだろう。
会場限定CDが発売!iTunesでも配信開始
アンコールで演奏された、優里さん作曲の「かくれんぼ」をMY FIRST STORYがカバーした楽曲に加えて、マイファスのオリジナルソング「アイデンティティー」を加えた2曲を収録した会場限定CDが、数量限定で販売された。価格は1,100円。
会場限定CD pic.twitter.com/hjgRI8ayhX
— Kanako☺︎ストテラツアー行く (@kanakorin0525) November 30, 2019
現在のところCDの再販のアナウンスはされていないが、今後公式グッズ販売サイトで購入できるようになる可能性を信じたい。
そして、ライブ翌日に日が変わる午前0時より、iTunesにてCDと同内容の楽曲が『アイデンティティー-Single』として配信スタート!収録されている2曲共に魅力的な楽曲となっている。
さらに、優里さんオリジナルバージョンの「かくれんぼ」も、同じくiTunesで配信開始。非常に綺麗な声で歌い上げる優里さんの楽曲は必見。iTunesでは、すでにライブに参加した複数のマイファスファンがレビューを書き込んでいる様子も伺える。
優里 かくれんぼ-Single
MY FIRST STORY アイデンティティー-Single
まとめ
文字通り「最高」のエンディングとなった今回のMY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL (さいたまスーパーアリーナ)。ライブが始まる当初は、「マイファスがたまアリはまだ早いのでは」など心配する声も囁かれていた。実際、チケットはソールドアウトしたものの「即完売」というわけではなく、辛くも直前に全席が埋まったような感じだった。
しかし、これらは要らぬ心配だったかもしれない。自身初の「さいたまスーパーアリーナ」、これまでに最大規模のワンマンライブにも関わらず、マイファスの殻を破るようなパフォーマンスを見せつけたMY FIRST STORY。来年にはファンクラブ会員限定のツアー、「STORYTELLER TOUR 2020」の開催も決定し、今後の期待が高まるばかりだ。
今後、MY FIRST STORYはどのような進化を続けていくのだろう。そう考えた時、その変化はこれまで以上に加速する可能性もあると考察する。
「2021年に東京ドーム」を掲げている彼らにとっては、今後「これまでの一定のファンが離れる覚悟もいとわない」ような変化・進化が求められるのかもしれない。「マイファスらしいアイデンティティ」が確立されてきた今、この殻をどのように破り捨てるのか。このバンドの、"生き様"としての新たな挑戦にも注目していきたい。
最後に、マイファスが今後どんな進化を遂げたとしても、私がこのバンドのファンを降りることは無いだろう。